無謬性を主張する人は信用できない、という話をしています。日本の場合、この典型がお役所とその周辺です。一所懸命仕事をしているのに、やたら言い訳、アリバイ作り、責任逃れ、「私だけが悪くない」という主張をするので、そのクレディビリティーに傷がつきます
今はPMDAですが、昔は厚生省が抗菌薬の審査、承認を行っていました。かなりずさんな仕事でした。しかし、問題なのは仕事がずさんなことそのものよりも、その間違いを補正する仕組みが貧弱だったりインセンティブが小さいことです。新薬を一つ審査するより、昔の間違いを正した方が現場は喜ぶしコスト効果も高いのに。
さて、このたびバイエルのシプロ(注)で、希釈をしなくても良いオプションが追加され、添付文書の改訂が行われました。些細な変化です。しかし、現場にとってはとてもとても大きな変化です。臨床的なコンテクスト抜きの添付文書が多い中で、その間違いを認めて直してくれたことが大きいのです。1回できた文書がどんなにダメ文書でもそのまんま、という慣例を打ち破った事実が大きいのです。繰り返しますが、間違えることがその人間や組織の価値を下げるのではありません。誤りを率直に認めない、意固地な態度こそが間違いなのです。
The difference between perseversance and obstinacy is that one often comes from a strong will, and the other from a strong won't.
Henry Ward Beecher.
忍耐と強情の違いは、一方が大抵は、やろうという強い意志から、もう一方がやろうとしない強い意志からきているということである。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。