The Lancet Infectious Diseasesはお気に入りの雑誌で毎号有用な総説が載っています。5月号は特に注目していたウイルス感染症の潜伏期間、トキシックショック、そしてStenotrophomonas multophiliaの特集です。なんと、著者には太田西ノ内病院の成田雅先生の名前が!私の中部病院時代の二年先輩で、スーパーマンのように優秀な憧れの存在でした、、、
とくに問題となる感受性試験の解釈と治療について、、、、
- in vitro 感受性試験は問題ありあり
- Both the British Society for Antimicrobial Chemotherapy (BSAC) とUS Clinical Laboratory Standards Institute (CLSI) はSTについては感受性のスタンダードを定めている。
- MIC 2 mg/L
- CLSIはticarcillin-clavulanic acid, ceftazidime, minocycline, levofloxacin, chloramphenicol,のブレイクポイントを定めている。
- しかし、Expert Rules (Antimicrobial Susceptibility Testing of the European Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing)ではstenoはintrinsicにceftazidimeに耐性と考えている。
- モキシの感受性はlevoをみれば分かる。
- ESBLの判定にはS. maltophiliaについては様々な交絡因子があるので、専門家による判定が必要。
- BSACはStenoについて、ラボの感受性試験と臨床効果には相関があると指示するデータはない、と身も蓋もない勧告をしている。
- 複数併用によるシナジーもin vitroではあるが、シナジーをテストすること(たとえばcheckerboardやtime-kill curveを使うなど)の臨床的な意義はよく分からない。
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- というわけで、治療についてはよく分からない。
- とりあえず、感受性のあるものから選んだ方がよいだろう。
- 難治例では、併用療法も考慮
- 単独ではco-trimoxazole(ST)が第一選択。静菌的。重症例ではPCPと同じ量を使った方がよい。15mg/kg/day
- STは末梢の単球からのTNFα産生を抑制するが、これが臨床的にどういう意味があるのかは分からない。
- 大抵のペニシリンやセフェム、そして全てのカルバペネムは使えない。β−ラクタマーゼ阻害薬を噛ませればOKかも。
- STが使えないときのセカンドチョイスは、in vitroから得られたデータを元に、ticarcillin clavulanic acid。面白いことに、これはstenoには静菌的
- aztreonam とclavulanic acid (2/1か1/1)もよい。ticarcillinを加えるとさらによい、ということはTimentinとアザクタムか。
- ceftazidime単独療法、cefoperazone, cefepimeにも報告あり。ただし、ceftazidimeとcefepime曝露そのものがsteno感染のリスクファクター。セフェムにβ−ラクタマーゼ阻害剤を入れてもダメみたい。
- シプロやlevoよりもclinafloxacin, gati, moxi, trovaのような新しいキノロンはよい。どのキノロンがベターかについては不明。耐性もおおい。
- minocycline, doxycyclineなどのテトラサイクリンやtigecycline(glycylcycline)もin vitroではよい。
- アミノグリコシドは大抵ダメ。
- polymyxinはOK.
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- STがダメなときは併用療法が推奨される。併用レジメンに決まりはないが、、、
コメント
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