これも移動中にipodで観ました。溝口権二監督の作品を見るのは実は初めてです。
映像の美しさや優雅さは素晴らしい映画でしたが、どうもこちらの受容体に問題があったのか、あまり感銘を受けませんでした。能を応用した映像は西洋人には受けるでしょうが。
ひとつは、人間の金銭欲・名誉欲・出世欲を戒めているというテーマがあまりに通俗的だったこと。時代が時代ならばはっとさせるテーマだったかも知れませんが、今の世の中のあり方で観ると、「そんなの当たり前じゃない」という感じもしないでもありません。
次に、台詞に工夫があまりなかったこと。とても説明的で、くどい印象を受けました。
最後に、これはこの時代の日本映画の演出方法の特徴のように思いますが、演技が過剰なこと。初期の黒澤映画などでも見られますが、出演者の感情の起伏が激しすぎてちょっと観ていて引いてしまいます。逆に、今の日本人の感情量が当時に比べて減ってしまっているせいなのかも知れませんね。
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