4月号の「ビジネス英語」を聴いている。今年も講師は杉田敏さんで、アシスタントがアメリカ人に替わっている。構成もこれまでとは大きな変化があり、より主体的にこちらが考えることができるようになっている。良く使う言い回しを覚えやすいようにも工夫されている。
もう20年くらい聴いているこの番組だが、少しずつ進化している。しかし、杉田さん以外にはこの番組はできないような気がする。世の中には「誰が代替してもメンテできる組織」が理想とされることは多いが、「この人がやらないとダメ」なものもある。サー・アレックスがひきいるManchester Unitedがそうであり、杉田敏さんの「ビジネス英語」がそうである。両者は漫然と、毎年同じことをやっているわけではなく、少しずつ自身を変化させ、進化させている。揺るぎない真の強さと臨機応変な柔軟さというジレンマをうまく消化している。
英語を学ぶことは(別に他の外国語でもよいんだけど)、決して日本語を低く見ているわけではない。というか、日本語の達人はたいてい外国語にも造詣が深い。夏目漱石がそうであり、大江健三郎がそうであり、村上春樹がそうだ。外国語を学ぶと日本語がダメになる、、、という根拠のない伝説はどこからやってきたのだろう。もちろん、帰国子女で日本語が苦手、、、というパターンはあると思うけれど、それは単に日本語を学ばなかったというシンプルな理由から来ている(だから、水上美苗のように日本語を勉強すればそれは払拭できる)。「外国語を勉強すると日本語がダメになる」と同義ではない(日本にいても日本語が苦手な人もたくさんいる)。「あれか、これか」の世界観はここにもかいま見られる。むしろ、外国語を学ぶことで日本語を相対化し、より豊かな日本語を創造できるのではないか。要は言葉の認識の問題だと思う。
英語を勉強するのは欧米化(英米化?)と同義ではない。いまやフランス人ですら医学論文は英語で書く時代である。日本独自の良いものを醸造し、それを情報発信するときは、英語を使うしかないはずだ。日本語でいくらいいことを言っても、国外では誰も理解してくれないのだから。日本のオリジナリティーを重要視するからこそ、そのオリジナリティーが活かされるツールとして英語は便利なのである。所詮、ことばはツールなのだ。楽しく学び、活用したい。
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