腸腰筋膿瘍の患者において標準治療は抗菌薬投与と超音波またはCTガイド下経皮的膿瘍ドレナージの併用である。私は、経皮的ドレナージの適応にならない患者はどのような患者か疑問に思い、適応されない患者について調べてみた。
腸腰筋膿瘍には、原発性膿瘍と二次性膿瘍があり、原発性膿瘍は血行性またはリンパ性の播種によって生じる。二次性膿瘍は周辺臓器の感染が直接広がって生じる。
外科的ドレナージの適応は、原発性膿瘍、凝固系の障害などPCDの禁忌の患者、手術を必要とする他の腹腔内病変を有する患者に行われる。特に、腸腰筋膿瘍の原因がクローン病である場合、膿瘍を排出して腸病変を切除するために単一の手術を行うことが望ましいとされている。画像ガイド下PCDが失敗した場合、未治療での死亡率が高いことから、外科的ドレナージを行う。ほかには、憩室炎や虫垂炎、多発性膿瘍、の場合も外科的治療の適応となる。しかし、手術前の患者の状態改善のためにPCDが行われる場合もある。
抗菌薬投与のみの治療についての論文では、膿瘍の大きさが1人を除いて3.5cn未満である9人の患者に抗菌薬投与のみを行ったところ、7人で治療が奏功した。治療が奏功しなかった患者のうち1人はAIDSによる免疫抑制を受けており、もう1人はクローン病に関連した膿瘍があった。
腸腰筋膿瘍の排膿は、できる限り経皮的に行われることが望ましいが、原発性膿瘍やほかに外科的治療を行う必要がある場合には外科的ドレナージを行う。膿瘍の大きさが小さく、免疫抑制状態やほかに外科的ドレナージの適用にならない場合には抗菌薬投与のみによる治療も効果があると考えられる。
参考文献
l UpToDate
l Acute pyogenic iliopsoas abscess in Taiwan: clinical features, diagnosis, treatments and outcome. Huang JJ, Ruaan MK, Lan RR, Wang MC. J Infect. 2000;40(3):248.
l Iliopsoas abscesses. Mallick IH, Thoufeeq MH, Rajendran TP.
l Management and Treatment of Iliopsoas Abscess Parissa Tabrizian, MD; Scott Q. Nguyen, MD; Alexander Greenstein, MD,
l Psoas Abscess: The Spine as a Primary Source of Infection Thomas Mu¨ckley, MD, Tanja Schu¨tz, MD, Martin Kirschner, MD, Michael Potulski, MD, Gunther Hofmann, MD, and Volker Bu¨hren, MD
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。