テーマ:カテーテル関連血流感染を減らすにはどうしたらよいか。
カテーテル関連血流感染は局所の感染にとどまらず、全身の血液感染症に発展し、致死的であることから注意、予防が非常に重要である。カテーテル関連血流感染を引き起こす経路として1つ目にカテーテル外表面を介する経路、つまりカテーテル皮膚挿入部から微生物が侵入する経路、2つ目にカテーテル内腔を介する経路、つまり輸液バッグ、輸液ラインから微生物がカテーテル内腔を通って侵入する経路が存在する。カテーテル皮膚挿入部からの感染を防止するためにはカテーテル挿入部の消毒とドレッシングが重要である。アルコールで皮脂を取り除き、ポピドンヨードやグルコン酸クロルヘキシジンを用いて挿入部を中心にドレッシングで覆う部位を中心から外側に向かって消毒を行い、消毒薬が乾燥してからドレッシング材で被覆する。また、ドレッシングには滅菌されたガーゼやフィルム型のドレッシングを用い、週1~2回定期的に交換する。カテーテル内腔を介する感染を防止するには輸液の調製をクリーンベンチなどで無菌的に行う必要がある。カテーテル関連血流感染を生じやすい薬剤として脂肪乳剤、血液製剤などがあり、これらは投与後のカテーテルに薬剤が残存しやすいことからカテーテル関連血流感染のリスクとなる。したがって、薬剤投与後には生理食塩水やヘパリンでのロックが必要となる。また、カテーテル関連血流感染の予防や治療において抗菌薬やエタノールを用いたロックも行われる。カテーテル挿入の際の滅菌にも十分に注意を払う必要があり、マスク、帽子、清潔手袋、滅菌ガウン、手洗いの徹底が不可欠である。ほかには、使用するカテーテル内腔数を必要最小限にすることであったり、不要になれば直ちにカテーテル抜去することも重要である。
今回、カテーテル関連血流感染を予防するうえで、どの薬剤を用いたロックが効果的であるのかに興味を持ち調べた。調べた論文では、9099人の患者が関与しており、13のカテーテルロック療法(単一および組み合わせ)を評価する合計52のランダム化比較試験を行っていた。結論としてほとんどのロック療法は単一のものよりも組み合わせの方がカテーテル関連血流感染の予防において優れており、ミノサイクリンとEDTAを用いたものが予防に最も効果的であった。
参考文献:Int J Infect Dis. 2019 Oct;87:154-165. doi: 10.1016/j.ijid.2019.08.017. Epub 2019 Aug 20. Comparative efficacy of various antimicrobial lock solutions for preventing catheter-related bloodstream infections: A network meta-analysis of 9099 patients from 52 randomized controlled trials. Dang FP1, Li HJ2, Wang RJ1, Wu Q3, Chen H4, Ren JJ1, Tian JH5
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