注意! これは神戸大学病院医学部生が提出した感染症内科臨床実習時の課題レポートです。内容は教員がスーパーバイズしています。そして本人に許可を得て署名を外してブログに掲載しています。
学生に与えられたレポート作成時間は総計5時間。月曜日に「質問形式」のテーマを考え、岩田が審査し、そのテーマが妥当と判断された時点からレポート作成スタート、5時間以内に作成できなければ未完成、完成して掲載レベルであればブログに掲載としています。お尻に岩田が「寸評」を加えています。
あくまでも学生レポートという目的のために作ったものですから、レポートの内容を臨床現場で「そのまま」応用するのは厳に慎んでください。
ご不明な点がありましたらブログ管理人までお問い合わせください。kiwataアットmed.kobe-u.ac.jp まで
梅毒感染による関節炎の発生部位ごとの頻度はどれくらいか?
第2期梅毒は全身に様々な症状が出現する。第2期梅毒に合併する、または第2期梅毒が顕在化する前に体に生じる徴候と症状としては、咽頭痛(15~30%)、発熱(5~8%)、体重減少(2~20%)等があるが、比較的まれな合併症として関節炎も存在する〔1〕。今回は梅毒感染で起こる関節炎の部位について調べた。
1916年に行われた研究では165人の梅毒患者において、筋骨格症状を訴えたのは60人のうち、27人が骨症状、21人が関節症状、12人がその両方を有していた。17人は関節痛を有するのみと考えられたが、5人は実際に膝、股関節、肩関節に関節炎を有していた。
別の調査では亜急性から慢性の梅毒症例で、膝だけでなく指や肩の滑膜炎に関与することが報告されている。
また梅毒患者において左右対称の多関節炎が単関節炎よりも多いと考えられている〔2〕。
J Aderintoらは早期の梅毒における多発性関節炎は通常第2期梅毒において3~12週で発生するとし、右膝の単関節炎を珍しい症例として報告している〔3〕。
関節炎は先天梅毒でも見られる症状であり、乳児では「Parrot's syphilitic osteochondritis」幼児では「Clutton's joints」として発現することが多いと言われている〔4〕。
関節炎の部位と頻度についてはまとまった報告はみつけられなかった。ただ調べた範囲では関節炎の発生傾向については膝や足首など下肢が中心であった。また多関節炎が主であり単関節炎は比較的珍しいと考えられている。また梅毒は様々な症状を呈すると同時にHIVや淋病等との合併も多く、関節炎の評価を難しくしていると考えられる。
- 福井次矢・黒川清監修(2017)「ハリソン内科学第5版」1175p
- ANTONIO J他「SYNOVITIS IN SECONDARY SYPHILIS」Arthritis Rheum. 1979 Feb;22(2):170-6.
- J Aderinto他「Early Syphilis: A Cause of Mono-Arthritis of the Knee」Ann R Coll Surg Engl. 2008 Jul; 90(5): W1–W3.
- SCOTT GRAY,T.PHILP「SYPHILITIC ARTHRITISDIAGNOSTIC PROBLEMS WITH SPECIAL REFERENCE TO CONGENITAL SYPHILIS」Ann. rheum. Dis. (1963), 22, 19.
寸評:探した文献をちゃんと読んでいないので上滑りしたレポートになりました。スーパーバイザーがもっとチャンと教えねばならないところです。テーマはとても意義深いのですがね。
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