S「いや~D先生、今月もこの病院赤字らしいですよ。やばいですね」
D「DPCでこんだけ無駄な検査を繰り返してれば、そりゃ赤字になるだろ。MRIとかPETとか高い3文字アルファベットの検査をやりすぎだ。プロレス団体かボクシング協会じゃあるまいし、何でもかんでも3文字にしやがって、、、、」
S「3文字は関係ないでしょ」
D「大ありだあ。PETみたいな可愛らしい名前をつけるから、ついつい「ちょっとついでに」とか軽々しく主治医がオーダーするじゃないか。あれが「アジャラカモクレン、モリトモガクエン、テケレッツノパー」とかいう検査名だったら、みんなそうそうオーダーしないはずなんだ」
S「そうですかあ~?」
D「薬だって可愛らしい名前や、かっこいい名前だと親和性が増して処方しやすくなるんだと。「クラ◯ス」とか、絶対「名前」で出してるぞ。臨床的な意義なんてほとんどないじゃないか」
S「そろそろガスマスク買っとかないと、また暗殺されますよ」
D「俺様がアメリカにいた時、向こうのMRに教えてもらったんだが、アメリカではZを付けると薬が売れやすくなるんだとか。アルファベットの最後文字でなんとなくカッコよくて効きやすい、みたいな印象があるんだと。Zythromac(抗菌薬)、Zoloft(抗うつ薬、SSRI)、Zoxyn(抗菌薬)、Zyprexa(向精神薬)、Zantac(H2B、胃薬)。ほらな、よく売れてる薬ばかりだろ」
S「偶然じゃないんですか?」
D「検査に話を戻すとだな、みんな取り敢えずパンパンとオーダーするだろ。悪い癖だぞ」
S「まあ、病院経営もさることながら、無駄な検査のオーダーって多いですよね」
D「入院患者でPETが診断に役に立つことなんて、1割あるかないかだろ」
S「まあ、狙ってる疾患にもよりますけどね」
D「そもそも、何も狙ってないだろ、そういうドクターたちは」
S「ガスマスク、ガスマスク!ていうか、自分の吐いた毒でよく死にませんね」
D「インペルダウンのルフィみたいなもんだ」
S「わかんない〜〜」
第81回「無駄な検査を減らそう」その1 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。