D「午前中に抗真菌薬を使わず、午後になって使おうというS先生の態度にはきちんとした一貫性がある」
S「そうですか?コロコロ変わってるじゃないですか」
D「バーカ、表面的なところで判断すんな。「目の前の患者にベストを尽くす」という点では一ミリもぶれてないじゃないか!」
S「あ、今なんかすごいカッコイイこと言った!」
D「俺様はいつだって名言しか言わないんだ!」
S「そうか~そう言われてみれば、たしかにその通り」
D「患者の状態が変わる、判断が変わる、意見が変わる。よくあることだ。それを研修医に全て伝えろ。意見の変更を正直に述べろ。朝の判断が甘かったことも認めろ。研修医に誠実で、正直であり続けることも、やはり一貫性だ。全然、ぶれてないだろ」
S「うわ~~また、カッコイイこと言った。D先生がかっこよく見える」
D「見えるんじゃなくって本当にカッコイイんだよ」
S「そうかあ、表面的な一貫性ではなく、もっと深いところの一貫性が大事なんですね~」
D「そうだ。研修医だって見た目ほどのボンクラじゃない。指導医の悩みや苦悩や逡巡はちゃんと観察している。それを見せろ。そうすれば、奴らも悩み、苦しみ、逡巡できるようになる。軽やかに、スマートな判断ばかりを見せていると、「あんなふうにかる~く判断するのがいいんだな」と勘違いする。泥臭く生きることがカッコイイんだ。奴らの価値観に揺さぶりを与えろ!メッシよりもマスチェラーノを見習え!」
S「最後のは意味不明でしたが、、、」
第70回「朝令暮改を恐れるな」その2 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
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