S「D先生、ちょっと困りました」
D「どうしたんだねえ。真っ白な歯が見える笑顔が素敵な偽善紳士指導医のS先生」
S「なんでこんなにボロカスに言われなきゃならないんです。よく考えたら、前回も普通に整形外科の誰でもよいから、相談すればよかったんですよ。どんなにキツイ先生だったとしても、少なくともD先生よりは対応マシに決まってんですから」
D「今頃気づいたか~~~」
S「で、それはいいんですけど、相談に乗ってください(性懲りもなく)。朝のカンファで敗血症性ショックになった患者に抗菌薬治療を開始したんですが、どうも午後になっても血圧が上がってこないんですよね~朝は「この患者さん、リスク因子もないから真菌カバーは必要ない」って言っちゃったんですよ。どうしよう。なんか、真菌カバーが必要な気がしてるんです、、、でも、朝言ったことをその日のうちに翻すというのもどうかと、、、」
D「いいじゃないか。翻せば」
S「だって、、、、」
D「医療の世界では朝令暮改なんてどってことない。状況が変わることもあるし、もとの判断が間違っていることもある。間違うことは問題ではない。ダメなのは、間違いに気づいてもそれを修正できないことだ。霞が関の官僚がたいてい、そうだろ?」
S「またそんなこというと今度の厚生局の監査でむちゃくちゃにいじめられますよ」
D「俺様はフィークションの存在だから、リアルな役所なんて怖くないんだよーんだ」
S「でも、よく嫌われる指導医は一貫性がない、言うことがコロコロ変わる指導医だって指導医講習会とかで教えられるじゃないですか」
D「お前は色々間違ってる。まず第一に、指導医講習会で教わったことなんて真に受けるな。案外、デタラメやわけの分からんイデオロギーを押し付けてるだけのことも多い」
S「あああ、また苦情のメールが、、、、」
D「そして第二にだな、」
S「はい?」
第69回「朝令暮改を恐れるな」その1 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
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