D「S先生、さっきからあくびが止まらないな。いつまで新婚のつもりでいるんだ?」
S「さらっとソフトなシモネタかまさないでください。違いますよ、昨日は当直だったんです」
D「当科では当直明けのドクターは、スタッフに引き継いで帰宅ってルールを知らないのか?」
S「知ってますよ。でも、そうは言っても、帰れないじゃないですか、雰囲気的に」
D「だめだ、帰れ。今すぐ帰れ。雰囲気なんて気にするな。空気を読むな」
S「読みますよ。D先生じゃないんだから。ぼくだけ先に帰ったら、周りの顰蹙買うじゃないですか」
D「お前、どこ見てものいってんだ?」
S「はあ?」
D「俺たちはプロの医療者だ。どっちのほうを向いて仕事するかは、プロとしては極めて重大なポイントなんだぞ。知らなかったか?」
S「どっちを向く、、と言いますと?」
D「ま、いいや。当直明けの医者に説教したって頭には入るまい。今日はとにかくとっとと帰れ。話は明日だ」
S「だから、帰れませんって。日本ではドクターが当直明けに仕事、当直明けに外来、当直明けにオペに入る、、、これ、常識ですよ」
D「ならばその常識を捨てろ!常識なんてクソ食らえだ。いいか、30分以内にこの病院から消え失せろ。でないと、今後ず~~~っとこの病院から消え失せているようなことをしてやるぞ」
S「なんですか?それは」
D「内緒じゃ~」
第57回「休養は権利ではなく、義務である」その1 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
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