隔離予防策は、広範囲? 2
I「マニュアルだと、ESBLのみならず、MRSAとかもみんな「広範囲な感染」だけ隔離の対象にしましょう、と書かれていますね」
M「はい」
I「なぜですか」
M「え?」
I「ESBLが検出されただけでは隔離せず、「広範囲な」感染があるときだけ隔離する。理由はなんですか?」
M「理由とかは、、、別に。昔からこうなってましたし、みんなもそうしてますし」
I「喝ーーーっつ! だめじゃだめじゃ。貴様は破門じゃ」
M「いや、別に弟子入りしてないし」
I「みんながやってるとか、昔からやってるとか、厚労省や保健所がそう言っている、みたいなのは全部、ものを決める根拠にしてはいけません。大事なのは、「なぜ」そうするのか。そして、そうしたことで病院が、患者ケアがよくなるのか。それだけです」
M「なるほど」
I「感染管理の教科書の定番、MayhallのHospital Epidemiology and Infection Controllには、耐性菌伝播の最大の原因は医療者の体から別の患者に伝わっていく方法だと述べられています。そのうえで、ESBLなどの耐性腸内細菌科については、
Improve hand washing and asepsis
Barrier precautions (gloves, gowns) for colonized and infected patients
(など)と書かれています。
です。
M「improveは改善する、ですね。hand washing and asepsisは要するに手指消毒ってことですね。barrier precautionsはgloves(手袋)とgowns(ガウン)と書いてあるから、実質接触感染予防ってことですか」
I「はい、そして対象はcolonized and infected patients。定着か感染かは関係ないのです。要するに、その菌を持っている患者であれば、他の患者への伝播の原因となりうるからです」
M「そして、耐性菌の伝播する病院ではよい病院とはいえない」
I「そのとおり。よくできおった。弟子入りじゃ」
M「いやです」
英語は難しくありません。少しずつ学んでいきましょう。
今日のポイント
・感染対策は「なぜ」そうするのか、そしてそうしたら「なに」が起きるのかが大事。
今日学んだ単語:improve, gloves, gown, colonized, infected
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