毎年の卒業試験です。5つのモジュールがあり、そのすべてに合格しないと卒業できません。みなさんも挑戦してみてください。臨床感染症のプロならこういう問題が解けるべきだ、との理念から作成されています。
臨床微生物学 テスト 2015年度
文責 岩田健太郎
以下の問題から3問好きなものを選んで解答してください。問題をよく読んで出題の意図を理解して解答すること。字数制限はありませんが、長く書いたからといって加点はしません。
- Staphylococcus aureusが起こし得る疾患を「いわゆる」感染症とそうでないものに分けてまとめよ。
- 血液培養かららせん菌が検出されたときのアプローチを述べよ。
- 自然免疫(innate immunity)と病原微生物の関係について説明せよ。
- HIVの人体内での振る舞いを、現存する治療薬との絡みで説明せよ。
- 微生物学的嫌気性菌と臨床現場における「いわゆる」嫌気性菌の違いを説明せよ。
- 自由寄生性アメーバについて、とくに起こしうる疾患という観点から説明せよ。
臨床薬理学 テスト 2015年度
文責 岩田健太郎
以下の問題から3問好きなものを選んで解答してください。問題をよく読んで出題の意図を理解して解答すること。字数制限はありませんが、長く書いたからといって加点はしません。
- PKとPDの違いを述べよ。
- 細菌性髄膜炎に対してカルバペネムを第一選択薬にしてはいけない根拠を述べよ。
- ARTにおけるCPEの意義と、その問題点をまとめよ。
- ペニシリン・アレルギーについて説明せよ。
- 新規承認薬を積極的に用いてはならない根拠と、用いるための条件を説明せよ。
- 抗結核薬4剤併用療法を行なっている患者に肝機能異常(AST/ALT上昇など)が起きた。患者の条件に応じた対応法を示せ。
臨床感染症学 テスト 2015年度
文責 岩田健太郎
以下の問題から3問好きなものを選んで解答してください。問題をよく読んで出題の意図を理解して解答すること。字数制限はありませんが、長く書いたからといって加点はしません。
- 喀血患者の診断プロセスを説明せよ。
- 血小板減少患者の診断プロセスを説明せよ。
- ロシア生まれ、ロシア育ちの40歳男性が右下腿の慢性皮疹を訴えている。呼吸器症状、発熱、体重減少などはない。皮膚生検の結果、PCRで皮膚結核が診断されたが培養は現在pendingである。皮膚科からこの患者が紹介されてきた。この患者にどのように対応すべきか、時間経過と対応の適切な順番を考慮して説明せよ。
- HIV ELISAが陽性、ウェスタンブロット(HIV-1)が陰性の患者がいる。この現象を説明できるすべての可能性を列挙せよ。
- 尿路感染患者の血液培養、尿培養からCitrobacter freundiiが検出された。3世代、4世代セフェムに感受性は残されているが、セフメタゾールなどその他のセフェムはすべて耐性である。現在セフトリアキソンで治療4日目、患者は臨床的な改善を認めている。今後の治療をどうすべきか。戦略的に説明せよ。
- 「うんこから白い虫のようなものが見える」という主訴の患者が来院した。基礎疾患は特になく元気である。どのように対応すべきか。
感染管理学 テスト 2015年度
文責 岩田健太郎
以下の問題から3問好きなものを選んで解答してください。問題をよく読んで出題の意図を理解して解答すること。字数制限はありませんが、長く書いたからといって加点はしません。
- 妊婦が麻疹に感染した場合、想定される感染管理上の問題点にはどんなものがあるか。
- アメリカではバンコマイシンを使いすぎたためVREが多い、日本はそうではない、という議論がある。この意見の問題点を「論理的に」述べよ。
- 最新のCochraneのシステマティックレビューでは末梢静脈カテーテルの72時間から96時間おきのルーチンでの交換はアウトカムに寄与しないと結論づけている(Webster J, Osborne S, Rickard CM, New K. Clinically-indicated replacement versus routine replacement of peripheral venous catheters. Cochrane Database Syst Rev. 2015;8:CD007798)。診療現場にこの結論をアプライできるか。できないとしたら、その理由と克服法を記せ。
- ケア・バンドルとは何か。
- 日本にクロルヘキシジン2%の清拭を導入するとしたらどのような条件を満たす必要があるか。最新のエビデンスも参照して検討すること。
- 米国NHSN(National healthcare safety network)とJHAIS(Japanese Healthcare Associated Infections Surveillance)のデータを比較するうえでの利点を書け。またその際の問題点を列挙せよ。
倫理・コミュニケーション テスト 2015年度
文責 岩田健太郎
以下の問題から3問好きなものを選んで解答してください。問題をよく読んで出題の意図を理解して解答すること。字数制限はありませんが、長く書いたからといって加点はしません。
- 病院スタッフに「ジカ熱患者の対応について教えて下さい」と訊かれた。どう答えるべきか。
- 肺炎球菌による肺炎患者の主治医に初期治療のカルバペネム、バンコマイシン治療からのde-escalationを提案したところ、「うちの患者は易感染性なのでこのまま広域抗菌薬を続けたい。これは科学や理屈じゃないんです」と反対された。どう対応すべきか。
- 医師が(案外)論理的ではない理由を考えよ。
- 終末期患者の感染症治療の原則を述べよ。
- 研修医へのレクチャーのとき、留意すべき点をまとめよ。
- 入院しているエイズ患者のART処方忘れが発覚した。あなたはこの担当医を指導している立場にあると仮想せよ。この問題にどのように対応すべきか。
コメント
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