献本御礼
まさかこんな本が日本で出るとは思いもよらぬことでした。久しぶりに「業界」の本を読んで鳥肌が立ちました。これは本当にすごい本です。
でも、正直言って本書を読んで「何がすごいん?」とよく分からない人も多いようにも思います。本書はそういう、「読者を選ぶ本」です。
本書のケースでは病歴と身体診察、シンプルな検査結果しか出てきません。ディスカッサントの二人が自らの知識と経験を頼りに、こうした症例と取っ組み合います。その鑑別疾患は驚くほどに網羅的ですが、かといって投げやりな銃弾爆撃ということもありません。自分が分かっていないかもしれない、という可能性も顧慮に入れた非常に抑制の効いた議論と対話が続きます。
知性の証は雄弁ではなく、対話である、と小林秀雄がいったのを具体化するとこんな感じなんだろうと想像されます。大人の対話とはこうやるものだ、という模範がここにあります。感染症診療に慣れた人ならば、この「大人の対話」に鋭い眼光や名刀の切っ先も(そしてそれが収まっている鞘すらも)感じ取ることでしょう。
というわけで、本書は絶対買い、のおすすめ本ではありません。このレベルに挑みたい、挑戦者たちにはぜひおすすめの本です。挑戦することで失うものは何もありません。最近ハマっている「ラーメン発見伝」および「らーめん才遊記」的に言うならば、
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