注意! これは神戸大学病院医学部5年生が提出した感染症内科臨床実習時の課題レポートです。内容は教員が吟味し、医学生レベルで合格の域に達した段階 で、本人に許可を得て署名を外してブログに掲載しています。内容の妥当性については教員が責任を有していますが、学生の私見やロジックについてはできるだ け寛容でありたいとの思いから、(我々には若干異論があったとしても)あえて彼らの見解を尊重した部分もあります。あくまでもレポートという目的のために 作ったものですから、臨床現場への「そのまま」の応用は厳に慎んでください。また、本ブログをお読みの方が患者・患者関係者の場合は、本内容の利用の際に は必ず主治医に相談してください。ご不明な点がありましたらブログ管理人までお問い合わせください。kiwataアットmed.kobe-u.ac.jp まで
HIV患者と障害年金について
【障害年金】
公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)に加入している者が病気や外傷によって障害を負った場合、生活の援助のために申請できる年金が障害年金である。障害年金には種類があり、国民年金の被保険者には障害基礎年金が支給され、厚生年金の被保険者であればそれに加えて障害厚生年金、共済保険は障害共済年金が支給される。また、障害の等級と配偶者・子どもの有無によって障害年金の支給の有無や金額などが異なってくる。HIV患者の障害の等級(1級~3級)はCD4+Tリンパ球数などの検査所見、症状の程度、日和見感染症の有無、治療状況といった指標を基に決定されるが、これは身体障害者手帳の等級とは別物である。以下の表は国民年金・厚生年金被保険者の障害年金の概要をまとめたものである。
公的年金 |
国民年金 |
厚生年金 |
障害年金 |
障害基礎年金 |
障害厚生年金+(1級、2級の場合は障害基礎年金も) |
支給条件 |
1級、2級の障害 |
1級~3級の障害 |
①障害の原因となった病気の初診日に被保険者である ②障害の状態が固定しているか、初診日から1年半経過している ③初診日の前日において、初診日の前々月までに被保険者期間があり、保険料納付済期間 (免除期間含む)が加入期間の2/3以上ある |
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支給時期 |
障害の状態にある期間 |
【現状の問題点】
上記から分かるように障害年金を利用するためにはまず公的年金に加入している必要があるため、例えば職に就いていないもしくは収入が不安定でそもそも公的年金に加入していなければ対象にはならない。また障害年金を申請する上で重要となってくるのが初診日である。HIV感染で初診日として考えられるのは、感染初期症状で受診した日、血液検査で感染を告知された日、もしくは症状が現れ感染を知らずに受診した日である。この初診日が場合によっては支給条件を満たすかどうかを左右するため、申請する際にはこのことについての十分な理解が不可欠である。
その上、1級や2級の申請になると病状がかなり進行あるいは不安定でなければ難しく、HIV感染が早期に発見された場合などは、支給条件を満たすことができない。
【参考文献】
1)国民年金機構 障害年金について 2012年7月25日閲覧
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=5172#shogai
2)政府広報オンライン2012年7月25日閲覧 http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201201/2.html
3)ヒト免疫不全ウィルス感染症に係る障害認定における留意事項の追加について
http://www.shogai-nenkin.com/hiv.pdf
4)HIV陽性者のための医療・福祉制度ガイドブック http://www.pwalounge.net/contents/book001/pdf/001.pdf
永松昌泰と申します。ある医療に関わる学校をやっております。岩田さんの本は、以前から多大な興味と共感をもって拝読させていただいています。
「主体性は教えられるか」も、本当に同感で、とても楽しく拝読させていただきました。
ただ、今回もなのですが、とても岩田さんらしからぬ記述があり、とても心を痛めています。
それは、ホメオパシーに関する記述です。岩田さんは、由井寅子さんの本を読まれたようなのですが、由井さんは、確かにホメオパシーに関わっている人ではありますが、彼女の言動はホメオパシーというよりも、トラコパシーと言われているくらい、全くホメオパシー的ではありません。
ホメオパシーは、極めて厳格な実証から出発し、そして実証の意味するところを入念に考えつくされたものです。由井さんとはもっとも遠いところにある、と言っても過言ではありません。
岩田さんが、彼女の講演録に失笑されている場面が出てきました。私も正直なところ失笑しますし、世界中のまともにホメオパシーをやっている人は、失笑し嫌悪します。岩田さんと同じように。
岩田さんは、ホメオパシーを論じているのではなく、由井寅子という人の「低級な新興宗教教祖的な滅茶苦茶さ」を論じているに過ぎません。
岩田さんがホメオパシーを論じるからには、岩田さんが他のことで示している、極めて柔軟かつ本質的な思索が突然姿を消します。
「Wikipediaが好意的ではない」という記述にもびっくりしました。Wikipediaがどのような成り立ちであるかについてまったく無知であるかのような、とても岩田さんとも思えない書き方をしてありました。 Wikipediaのホメオパシーに関する記述は、ある「ネット右翼的」な方々に占拠されて、事実とは程遠い記述に無理に書き直されています。私の記述もありましたが、でたらめでした。
岩田さんや内田樹さんの思考は、実はホメオパシー的思考そのものです。ホメオパシー的思考とは、「現象を成り立たせているより根源的な力」を常に見て、ありのままに近づいていく本質的思考」です。硬直的画一的な思考の対極にあるものです。ちなみに由井寅子さんの思考は、一般的現代医療的な硬直的思考です。ホメオパシー的な本質的な柔軟な思考はほとんど見られません。
ずっと、いつかコンタクトを取りたいと思っていました。私のホメオパシーの学校では、岩田さんの本を参考図書にしたり、内田さんの話をしたりすることが多いからです。
でも生徒からも、岩田さんの本の中に、岩田さんらしからぬ軽率な記述があると聞くたびに、とても残念無念な思いをしておりました。
このコメントを実際にお読みになられるかわかりませんが、一応お送りいたします。
失礼なことを書いてしまい、申し訳ありません。
投稿情報: Masa Email | 2012/08/15 20:42