河岡先生の実に面白いウイルス学讃歌。基礎医学、基礎医学者生活の面白さをこれでもか、と教えてくれる。絶対、買いです。
いろんなところで書いたり言ったりしてるけど、僕は学生時代基礎医学志望だった。なんというか、なりそびれて、今の自分があるのだけど、基礎医学に対するシンパシーは今も昔もとても強い。僕が基礎医学に手を出さないのは、その深遠さ、偉大さのためであり、一朝一夕で「やったふり」をしてはいけないと自覚しているからである。本書でも満屋先生が、「常に研究していないとだめだ」とおっしゃっている(p221)が、その通りだ。臨床屋が片手間、ついでに基礎の世界に足を突っ込むのは失礼だと思う。逆もまた真なりだけどね。クリニシャン・サイエンティストみたいな言葉を軽々しく使うのはよくないことだ。普通は、どっちかが(あるいはどっちもが)「いんちき」である。僕自身は、臨床も研究も教育も中途半端ないんちきな医者だなあといつも思う。
それはさておき
興味深かった点を、つれづれに
・BSL3ではN100を使うこと
・ギャロ、モンタニエのHIV発見秘話と特許の話。
・神戸大学の新矢恭子先生あちこちで大活躍の話(本書の隠れた主役。先生、いつもお世話になっています)。
・口蹄疫対策の秘話。僕も動物は素人なので、この対談はとても勉強になった。ちなみに河岡先生も自身を「素人」と称されているが、(p194)これはとても誠実な態度だ(前書き代筆もカミングアウトしているし)。河岡先生、男気あるぜ。ワクチンといい、屠殺処分といい、人間の感染症屋では全然太刀打ちできない動物感染症の難しさがある。本当に勉強になった。鳥インフルエンザについても、同様。これも勉強になった。
・満屋先生の対談はHIV・AIDS屋は必見。ぼくはダルナビルも満屋先生開発とは恥ずかしながら知らなかった。黎明期のHIV・AIDS期は研究者も感染経路がわからず命がけである。僕の元師匠もNYで患者を見ていて身の危険を感じながらやっていた。一時期、HIV研究者バッシングが起きたが、彼らの努力が今のART時代を作っていることに、臨床家はもっと自覚的に、そして謙虚であるべきだ。
・金沢大谷内江先生、北大喜田先生など、お世話になっている先生が多数登場。谷内江先生は全然関係ない領域で(FMF)お世話になっており、本当にシンクロニシティーを感じる。
臨床屋の最大の美徳は、「他者の話を聞く」姿勢にある。基礎医学者を毛嫌いするような古い臨床医学のドグマはもうたくさん。他者を愛そう。自分たちの持っていないアセットを持つ人たちを素直に尊重し、協働すべきだ。基礎医学の発展なくして臨床医学の発展もないのだから。
いろんなところで書いたり言ったりしてるけど、僕は学生時代基礎医学志望だった。なんというか、なりそびれて、今の自分があるのだけど、基礎医学に対するシンパシーは今も昔もとても強い。僕が基礎医学に手を出さないのは、その深遠さ、偉大さのためであり、一朝一夕で「やったふり」をしてはいけないと自覚しているからである。本書でも満屋先生が、「常に研究していないとだめだ」とおっしゃっている(p221)が、その通りだ。臨床屋が片手間、ついでに基礎の世界に足を突っ込むのは失礼だと思う。逆もまた真なりだけどね。クリニシャン・サイエンティストみたいな言葉を軽々しく使うのはよくないことだ。普通は、どっちかが(あるいはどっちもが)「いんちき」である。僕自身は、臨床も研究も教育も中途半端ないんちきな医者だなあといつも思う。
それはさておき
興味深かった点を、つれづれに
・BSL3ではN100を使うこと
・ギャロ、モンタニエのHIV発見秘話と特許の話。
・神戸大学の新矢恭子先生あちこちで大活躍の話(本書の隠れた主役。先生、いつもお世話になっています)。
・口蹄疫対策の秘話。僕も動物は素人なので、この対談はとても勉強になった。ちなみに河岡先生も自身を「素人」と称されているが、(p194)これはとても誠実な態度だ(前書き代筆もカミングアウトしているし)。河岡先生、男気あるぜ。ワクチンといい、屠殺処分といい、人間の感染症屋では全然太刀打ちできない動物感染症の難しさがある。本当に勉強になった。鳥インフルエンザについても、同様。これも勉強になった。
・満屋先生の対談はHIV・AIDS屋は必見。ぼくはダルナビルも満屋先生開発とは恥ずかしながら知らなかった。黎明期のHIV・AIDS期は研究者も感染経路がわからず命がけである。僕の元師匠もNYで患者を見ていて身の危険を感じながらやっていた。一時期、HIV研究者バッシングが起きたが、彼らの努力が今のART時代を作っていることに、臨床家はもっと自覚的に、そして謙虚であるべきだ。
・金沢大谷内江先生、北大喜田先生など、お世話になっている先生が多数登場。谷内江先生は全然関係ない領域で(FMF)お世話になっており、本当にシンクロニシティーを感じる。
臨床屋の最大の美徳は、「他者の話を聞く」姿勢にある。基礎医学者を毛嫌いするような古い臨床医学のドグマはもうたくさん。他者を愛そう。自分たちの持っていないアセットを持つ人たちを素直に尊重し、協働すべきだ。基礎医学の発展なくして臨床医学の発展もないのだから。
こんにちは。
先生が紹介している本。読みたい本がたくさんあります。荷物を減らしたいという思惑とは裏腹に、少しずつですが、また本が増えつつあります。(涙)
この本も、是非 手にとって拝読させていただきたいと思います。多くの感染症は皮膚にも何らかの症状を起こしてくるようですので、常にアンテナをはっておきたいと考えています。
そして、先生ご紹介の「皮膚科似たもの同士」お恥ずかしながら、手元に置いて、はまっています。さらさら読破というのではなく、「そうですよねー」と思ったり、「なるほどー」と勉強になったり。私の隣にいる看護師さんは、私に「これ何だと思いますぅ?」とクイズを出されて、ちょっと困惑ぎみですが、有り難いことに 話につきあってくださいます。また、病理診断依頼書には、これまでの2−3倍鑑別診断名が(自然に)書けるようになり、大変感謝しています。 とはいえ、まだまだ プロの域には達していないように思いますので、これから更に勉強です。
余談ですが。
この本の著者の塩原先生は、とても尊敬できる先生で、多くの皮膚科医を親切に指導してくださいます。著書や雑誌の監修もなさっていますが、「皮膚科は写真が大事」という考えのもと、その作品作りにも非常にこだわりを持った仕事をなさっています。
例えば、医学雑誌の大半は薄い紙ですが、それでは写真をみている際に、裏の文字が透けてしまいます。なので、V.dermatology は、紙を厚めにされているのだそうです。
女性医師支援も熱心に考えてくださり、結婚出産などで 一時的にでも、医療から離れる女医に対して、その心情を理解しようとして下さり、育児期間中の過ごし方などにも助言をくださいます。
私も、そうやって勇気づけていただいた一女医なのです。
機会があれば、是非 直接お目にかかって、みてください。
投稿情報: 岡山のあこです。 | 2011/02/09 22:18