極めて興味深かったのが第3章、特に「基礎理論」のところ。倫理学の理論的枠組と、サンデルチックな正義にまつわる議論、そこからようやく4分割法と(なつかしい!)なって、そして4分割法の限界点と克服についても詳説している。日本では白浜先生の功績が大きい反面、4分割することそのものが自己目的化している(そのことは白浜先生ご自身も望んだことではないのだろうが)部分もあるが、煮え切らない倫理学のパースペクティブをみるのにとてもよかった。対談も面白かった。
一方、2章のケース・スタディーはちょっと定型的だなあという不満も残る。やはり論じるには包括的でも各論的な具体例になると??になることがあるのが倫理の難しいところだ。とくに、医療裁判にありがちな後付けの理論が多いのが気になる(本書で言うトップダウンの視点)。医療者はその当該患者「だけ」を診ているのではなく、あれやこれやのことをやりながらの診療の一面なのだが、裁判所は、「○○の症状は××に矛盾しないのだから、これを見逃すべきではなかった」みたい、さもカプセルの中に医療者と患者だけがあるファンタジーの世界を想定し、後付けで批判する。それに似た倫理的分析もなくはなかった。あと、執筆者によってテキストのクオリティーには若干の差を感じた(仕方ないけど)。
一方、2章のケース・スタディーはちょっと定型的だなあという不満も残る。やはり論じるには包括的でも各論的な具体例になると??になることがあるのが倫理の難しいところだ。とくに、医療裁判にありがちな後付けの理論が多いのが気になる(本書で言うトップダウンの視点)。医療者はその当該患者「だけ」を診ているのではなく、あれやこれやのことをやりながらの診療の一面なのだが、裁判所は、「○○の症状は××に矛盾しないのだから、これを見逃すべきではなかった」みたい、さもカプセルの中に医療者と患者だけがあるファンタジーの世界を想定し、後付けで批判する。それに似た倫理的分析もなくはなかった。あと、執筆者によってテキストのクオリティーには若干の差を感じた(仕方ないけど)。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。