僕は言葉狩り、揚げ足取りといった狭量な根性が大嫌いだが、にもかかわらず(いや、それゆえに、か)、本当の意味で差別的な発言を強く憎悪する。
ヒューマンライツ・ワッチに、石原慎太郎都知事の同性愛者に対する差別発言を記事にしたものが掲載されている。
以下引用
石原知事の最初の発言は、昨年12月3日、(中略)
石原知事は「[この条例は]子どもだけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている」と発言。この発言は、毎日新聞の紙面及びウェブで報道された。
その後12月7日に、この発言の真意を問う記者の質問に答えて、石原知事は同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と述べた。また、サンフランシスコでゲイ・パレードを見た時のことについて「ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」と述べた。これらの発言は複数の新聞やインターネットメディアでも取り上げられた。
(引用終わり)
ヒューマン・ライツ・ウォッチのレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー(LGBT)人権プログラムの調査員ディピカ・ナットは「石原知事の発言はレズビアンやゲイの人びとへの偏見を増大させ、既に社会の片隅に追いやられている人びとに対する差別を悪化させる可能性がある」とこの記事の中で石原知事を批判している。
僕は、そうは思わない。石原知事が発言したからといって、僕らの同性愛者に対する意識がどうこうするわけがない。彼はいまや悪質なデマゴーグだが、僕らに対する影響力はない、空回りするデマゴーグである。むしろ、僕は石原知事のあの発言を聞いて、本当に気の毒に思った。どこかやっぱり足りない感じがしたからである。石原裕次郎も石原良純も、(たぶん)石原伸晃も善良で知的な人たちであることを考えると、遺伝子は関係ないのだろう。
ところで、このくらい悪質な発言をしても日本のマスメディアはほとんどスルーであった。国会議員の細かな質問はこれでもか、というくらいちくちくと(多くの場合辞めるまで)重箱の隅つつきをするのに、である。この沈黙こそが、デマゴーグたる石原知事にマスメディアも積極的に加担している共犯者なのだということを示しているのである。僕は「ドクターG」の収録の時、最初はHIVを扱おうと思ったんだけど、「ああいうのは、NHK的にちょっと、、、」とイヤな顔をされている。それで出演は辞めようと思っていたのだが、あれやこれやのグダグダで出演する羽目になってしまった。放送コードにひっかからないことよりも、こういう本質的な差別的態度の方がずっと重要なのだけどね。どこかやっぱり足りないよ。
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