昨日は朝、ワクチンに関するレクチャー。同時接種についてうろ覚えなので間違い言っちゃいました。ここで訂正します。
1.基本的にどのワクチンであっても同時接種は可能。1インチ程度離して打てば良い
2.もし生ワクチン同士で同時接種を逃した場合は、4週間間隔を空けて打つ。相互作用による硬化減弱のセオレティカルな可能性がある。
3.生と不活化、不活化と不活化については、間隔は気にする必要なし。
さて、夕刻は北野病院で「リアルな」院内感染の話。初めていく病院だと、どのくらいのレベルでお話して良いか難渋する。北野病院の研修医たちはとても優秀だが、あまり飛ばしてしまうと後ろのナースたちが引いてしまう(通常、ナースは発現しないのでサイレンとなオーディエンスとしてその存在を斟酌する必要がある)。この塩梅を見極めるのに少し時間がかかった。
演繹法と帰納法の話をする。一般的に臨床医学の世界では帰納法の方が便利だ。理屈はよく分からないけど、この治療は効く、、という事実からの援用である。理屈の検証は後回しにして、「とりあえず有効である」で通用するのが臨床医学の世界である。
もちろん、演繹法が無益というわけではない。演繹法も大切だ。ただし、演繹法「だけ」ではだめで、帰納法による検証を必要とする。インフルエンザワクチンはIgA作らないから、インフルエンザを予防しない、、、で止まってはダメ。その仮説は大切にするが、「実際やってみてどうなの?」という検証なしに机上の空論を述べてはならない。
新型インフルエンザ騒ぎの時に、あの大きなワクチンのバイアル、実際だれか現場で使ったときのシミュレーションしたことあるの?と会議で聞いたが沈黙、、であった。机上の演繹法だけでは現場はうまくいかないことの証左である。
なにか新しいことを院内でやる場合、経験者の話を聞くことはとても大事だ。想定外の珍事が起きることはしばしばである。こういう意味での「経験主義」はうまく機能する。
何にだって有効に機能する「条件」がある。昨日も体温やCRPがうまく使える「条件」について話した。CRPに意味があるか否や、という命題では単なる信念論争になって終わりだ。「いつ」「どういうときに」「なぜ」CRPが有効なのか、という問いかけ方が必要になる。ほとんどの指導医は知識も経験も豊富であり、沢山モノを考えているが、「考え方の基盤」がしっかりしていない人も残念ながら少なくない。例えば、演繹法だけでは脆弱な議論で、帰納法による検証が必要ですよ、、、といったような。その言説の根拠はどのへんに位置するのか、俯瞰する態度も持たないといけない。
貴重な講義をありがとうございました。
しっかりと理想を理解したうえで、
なかなか理想通りにはならないリアル・ワールドでの行動が
問われるのだと思いました。
その一つが、最後に声を掛けさせていただいた、
小児の血液培養であると思います。
今後院内で周知をしていきたいと思っています。
後半の質問タイム、勉強になりました。
そちらの方が盛り上がるのがリアル・ワールドなんですね。
投稿情報: HIDE | 2011/01/16 19:52