机の上に置きっぱなしだった「救児の人々」を読む。価値の多様。押しても引いても煮え切らない医療現場と医療の本質。こういう書物が出てきたのは良い徴候だと思う。僕個人は先にも書いたようにドキュメンタリーに対する「照れ」があるので飛ばし読みになったが、患者サイド(母サイド)には熟読の価値があるかも知れない。
速読をした後、遅読をする。速く読むだけでは分からない世界観と世界を学ぶ。最近、小説の素晴らしさをつくづく痛感する。どちらも魂を揺さぶる素晴らしい作品で、「最近の小説界はだめになった」なんてそんなことは全くないことが確認できる。訳文も美しい。長い百年の孤独という孤独。そして「わたしを離さないで」という傑作。能の舞台を見ているような、単調で定型的、静かな静かな生活からにじみ出る深い感動。本当に震えた。
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