モモはぼんやりとながらも、じぶんがあるたたかいに直面している、いや、すでにたたかいのなかにまきこまれている、と感じました。けれどもそれがなんのたたかいなのか、だれにたいするたたかいなのかは、わかりません。(中略)
モモはあいての目をうかがいました。この男はどういうわけか人を不安にさせます。とくにその目からつたわってくるひややかさがいけません。けれどふしぎなことに、なぜか理由はわかりませんが、この男がかわいそうにも思えました。(中略)
「人生でだいじなことはひとつしかない。」男はつづけました。「それは、なにかに成功すること、ひとかどのものになること、たくさんのものを手に入れることだ。ほかの人より成功し、えらくなり、金もちになった人間には、そのほかのものー友情だの、愛だの、名誉だの、そんなものはなにもかも、ひとりでにあつまってくるものだ。(中略)
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。