First answer to most good ideas is usually "no".
To get a different answer than "no" takes a tremendous effort.
Be respectful to others.
Never bring your colonialism.
You will never get the credit you deserve for getting it.
IDSA最終日は、グローバルヘルスに関するトピックを中心に参加する。最終日、日曜日ということもあって参加者は少ない。アメリカ人は国外のことに関心が低い人が多いので、それもあって参加者は少ない。日本人もほとんどいない。
朝のmeet the professorは僕のお気に入りだが、そのときジョンホプの先生が言っていたのが上のコメント。何十年もインドやアフリカでやっていくには、このような態度が必要になる。稲田先生がケニアで、僕らがカンボジアで、グレミリオン先生やティアニー先生が日本でやっているときも、同じようなアティチュードだと思う。
もやしもんで、樹教授が「君は急ぐ人だね。千里の道も一歩からという言葉を与えよう」と(詳細間違いあるかも)言っている。これは日本酒業界の改善に対する言葉だが、国際保健の要諦であり、感染管理業界の鉄則であり、医学を含むほとんど全ての業界における鉄則でもある。
「アメリカから帰ってきて、日本があまりに違うのでやりにくい」という相談を受けることがある。僕はこの悩みに答えるアンサーを持っていない。これは類化性能と別化性能の問題であり、それは恣意性の問題でもある。恣意性の問題は、自分で答えを見つけるより他にない。
先々週だったか、脳梗塞の患者を出先の総合診療外来でみたが、CTとろう、と思った時間からCTをとってERまで連れて行くまでほんの10分くらいしかかからなかったのに驚嘆した。それはCTへのアクセスの良さであり、スタッフのコミットメントでもある。
日本の医者はCTを撮りすぎると批判されるが、そしてそれは真実の一側面ではあると僕も思うのだが、かといってCTがないというのはもっと困る。CTがないとどのくらい困るかというと、これも観念的に考えるより、実際そういう場所で診療してみるのが一番だと思う。そこでは「結核性髄膜炎か、脳梗塞か、脳出血のどれか」がアセスメントとなるような世界である。
そういう場所(=シアヌーク病院)に身を置いてみると、日本とアメリカなど似たものどうしであることがよく分かる。ある二者が似ているか、似ていないかを判断するのは類化性能を強く働かせるか、別化性能を強く働かせるか、の恣意性の問題でしかない。どちらが良い、悪いの問題ではない。別化性能は学問のうえでは重要な能力だ。ワインテースティングでも役に立つ(もっとあればいいのに、、、涙)。アメリカに留学する人は別化性能が強いことがほとんどだ。アメリカと日本の細かい違いを繊細に(ときに神経質なくらいに)区別することができるからこそ留学なのであって、それなくして留学のインセンティブが生まれることは、ごくまれな例外を除いて、ない。しかし、同時に大事なのは「おおざっぱに言うとそんなに違いはないな」と腹をくくる類化性能である。両者のバランスが取れていないと、失調を起こす。
レヴィ=ストロースは「旅が嫌いだ」といいつつも、ブラジルを旅し「悲しき熱帯」を著した。類化性能と別化性能の話をしたのは折口信夫であり、それを紹介したのは中沢新一である。人類学者は類化性能と別化性能の違いと恣意性に意識的である。そのようなメタなものの見方ができる、自分を俯瞰できる態度があれば、日米の違いに過度に苦しむ必要はなくなる。それは、90年代に流行った(いまも?)自分探しとか、アイデンティティーとか、そういうどうでもよい言葉と決別することでもある。
「日本がアメリカのようではない」と嘆き、アメリカのようにしようとするのは、要するに植民地時代の帝国主義的精神と変わらない。それではだめだと看破したのがレヴィ=ストロースであった。日本の大学病院に勤務するのは、草一本生えない荒れ地を耕して農園にする開拓作業に近い。一人で開拓するのではない。みんなで開拓するのである。むち打って開拓する奴隷時代ではない。そのために大事なのは、聴くこと。まずは、聴くこと。聴くこととは、他者に対してrespectfulであるということである。基本、病院改善も医療の改革も患者のケアも、根本的な要諦は同じなのである。
First answer to most good ideas is usually "no”.
である。基本的な構造は同じ。基本的な悩みも同じ。解決方法も同じ。ほら、類化性能は役に立つ。
コメント
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