移動時間などを利用して、買っていたけど読んでいなかった1Q84を読了。
とても完成度の高い小説だと思いました。けれど、「ノルウェイの森」にははるかに及ばないとも感じました。
「ノルウェイ」は今読み直すと文章が若いし、すこし気取っているし、妙にセンチメンタルです。文学の専門家なら、あまり高く評価しないかもしれません。韓流ドラマみたいなところもあるし(見てないので、あくまで印象ですが)。一方、1Q84はプロットは完璧だし、構成はしっかりしており、オウムなどの社会的事件を深く掘り下げ、人間のあり方を深く掘り下げ、世界のあり方を深く掘り下げ、文章も揺れがなくて、本当に純度の高い完成度の高いものだと思います。
でも、10年経っても忘れないのは、「ノルウェイの森」だと思う。ちょうど「カサブランカ」が突貫工事で作られた「B級映画」だったにもかかわらず、「A級」である国民的映画(例えば、グリフィスの「イントレランス」など)よりも長く愛され続け、記憶にとどまり続けたように。長くひたむきに待ち、耐える主人公の姿や周辺の人物の感傷的なエピソードに、センチメンタルなその文体に僕はとても心を揺り動かされるのでした。
1Q84もよかったけれど。
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