S「あ~今日もカンファレンス終わった。疲れたなあ」
D「あんなカンファで本当に疲れるのか?」
S「D先生、そりゃ疲れますよ。ぼく、たくさんコメントしてたでしょ」
D「してたな」
S「ほら、しゃべると疲れるんですよ」
D「S先生だけだったな、しゃべってたの」
S「え?いやいやいや、研修医はケースプレゼンしてましたし」
D「彼らはプレゼンしてるだけだったな」
S「え?」
D「要は、研修医がプレゼンする。S先生がそれに寸評を与えて、方針を決める。それだけじゃないか」
S「そりゃ、そうかもしれませんが、時間も限られている中で効率的にカンファレンスを進めようと思ったらこれが一番無難ですよ」
D「確かに無難だ。が、面白くもおかしくもない」
S「別に面白くするためにカンファやってるわけじゃないですから」
D「何言ってる。面白くなければカンファじゃないんだぞ」
S「80年代のテレビのキャッチコピーですか」
D「お前、研修医のどこに語りかけてる?」
S「え?、、、どこって、、、、脳?」
D「不正解だあ!頭にしゃべってどうする。指導医はなあ、研修医の魂に向かって喋るんだよ!」
S「またそういう意味不明なことを、、、」
D「本当だ。研修医を「その気」にさせれば、カンファは9割成功なんだよ。指導医が何を指導したかなんて、2の次、3の次だ」
S「そんなことないですよ。研修医は指導医の「指導内容」を欲してるんですよ。カンファにノリなんて求めてませんよ。今の研修医はパッシブでおとなしくて草食なんですよ」
D「その、草食が装飾なんだよ」
S「それが言いたかったんですか?」
D「繰り返し述べているが、我々指導医の目的は、研修医を「優秀な指導医」にすることだ。優秀な研修医にすることじゃない。S先生の薫陶を受けてパッシブ・ラーニングの癖をつけちゃダメなんだ」
S「まあ、そう言われれば、たしかにそうですね」
D「研修医が本当に草食なのか、単なる草食の装飾なのかは知らん。でも、例え草食系だったとしても、そういう研修医をダマクラカシて、「お前ら、本当は肉食系なんだよ」と洗脳してやるのが指導医の役目だ」
S「洗脳とか言って、またどこかから苦情が来ますよ」
D「何言ってんだ。教育というのは洗脳の婉曲語なんだぞ」
S「そんな、身もふたもない事を」
D「カンファ、ボンバイエだ!」
第47回「カンファレンスを議論の場にしよう」その1 終わり
続く。
この物語はフィクションであり、DとSも架空の指導医です。
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