セファロスポリンと呼ばれるメジャーな抗生物質があります。口から飲むセファロスポリンで、世界で一番売れているのがフロモックスです。二番目に売れているのが、メイアクトです(Visiongain. Antibacterial Drugs: World Market Prospects 2012-2022)。
驚くことに、世界でトップの売上を誇るこの2つの抗生物質は、ほとんど日本でしか消費されていないのです。つまり、フロモックスもメイアクトも世界最大の消費量なのに、(ほぼ)日本でだけ使われている、、、、
理由はなぜ?の3択問題
1.世界中で日本だけが正しい抗生物質(フロモックス、メイアクト)を使っており、他の国ではフロモックス・メイアクトを使わないせいで、感染症のためにバタバタ人が死んでいる。
2.日本人は特殊な体質を持っており、生まれつきフロモックスやメイアクトを飲まないと生きていけない(先天性フロモックス・メイアクト欠損症)。
3.日本の医療現場だけ抗生物質の使い方が、ヘタ。
さ、みなさんはどう思いますか?
フロモックスやメイアクト、セフゾン、トミロンといったセファロスポリンは日本では本当によく処方されています。しかし、ぼくの意見では、日本で出されているこうした抗生物質の99.9%(かそれ以上)は誤用です。
まず、風邪のように抗生物質を必要としない病気にフロモックス・メイアクトはガンガン処方されています。他の国では出されていない薬です。まさか、諸外国では風邪がない、というわけではないでしょうに。
そもそも、フロモックスもメイアクトもとても吸収が悪い、体の中に入っていきにくい抗生物質です。ですから、同じセファロスポリンでもぼくはケフレックスのような比較的昔のものを使います。昔のものだとダメかとおもいきや、さにあらず。(古い)ケフレックスのほうがずっとずっと体の中に入って行きやすいのです。
フロモックスもメイアクトも体に入って行かないのに、医者が使い続けるのは、「抗生物質がなくても勝手に治る病気」、すなわち風邪なんかに使い続けているからです。
次に、フロモックスやメイアクトでなくてもよいときに、こういう薬を浸かっている「乱用」が目立ちます。例えば、歯医者さんの使う抗生物質は口の中にある菌だけ殺せばいいのに、フロモックスやメイアクトはお腹の中にある菌まで(不要に)殺してしまいます。そのため、フロモックスやメイアクトの副作用で(お腹の菌が荒らされるために起きる)下痢が起きやすいのです。
さて、フロモックスやメイアクトの仲間たちはあまりにお腹からの吸収が悪いために、それを少しでも良くしようとして「ピボキシル」というものが付いています。ところが、これが大問題。ピボキシルは低血糖発作という副作用を起こすことが知られています。小さい子供がフロモックスやメイアクトを処方され、低血糖発作を起こした事例がすでにたくさん報告され、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は警告の文章を発表しています(http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/tekisei_pmda_08.pdf)。
風邪で受診したとき、フロモックスやメイアクトを処方されたら、「あれれ?」と疑問に思うべきです。受診のたびにそのような薬を出されるようなら、その医者は、、、ちょっと、ギブアップした方がいいかもしれません。
とはいえ!
フロモックスやメイアクトを処方する医者や歯医者たちが「悪意の人」なのではありません。
ただ、長い間、彼らは抗生物質についてちゃんと勉強するチャンスを持っていなかったのです。日本の医学・歯学における感染症教育がよくなかったのです。
とくに歯医者さんは、自分の技術部門の研鑽で一所懸命で、いわば「ついで」の抗生物質について勉強する機会は非常に少なかったと思います。まあ、抗生物質の知識がたっぷりある歯医者さんよりも、治療技術に秀でた歯医者さんのほうがありがたいです、僕自身。
日本の医学教育はいろいろと原理的な問題を抱えています。医学を勉強するやり方「そのもの」が問題なのです。この話はまた別の機会にしましょう。
彼らはですから、加害者というよりむしろ被害者なのかもしれません。
知性は、「どれだけ正しいか」という正しさの総量ではなく、「正しくないと分かったときに即座に反省して訂正できるか」という反省力にかかっています。人は間違えます。ぼくも間違えます。それはある程度、仕方がありません。しかし、間違いを指摘されても頑固に間違った診療を繰り返す場合、それを人は、ほんとうの意味での「愚か者」と呼ぶのです。間違いを指摘された医者や歯医者がどのような態度に出るか、どうかみなさん、注目してご覧になっていてください。
私は20年ほど前に岡崎市民病院に感染性毛巣洞になり、半身麻酔で切除手術を受けて1週間ほど入院した折に、ずっとフロモックスを処方されていましたが、退院後も飲んでいたら飲むたびに激しい下痢と全身の発疹と腹痛に襲われるようになり、アレルギーなのかと心配しているのですが、不用意にお腹の殺すために起きている可能性があるのですね。
投稿情報: Itobun | 2013/07/02 19:33