ペルーで研修を受けたのは1999年でした。すでに3剤によるHAARTが「常識」になっていた時代でした。ところがペルー随一のHIVクリニックではAZT単剤療法がある患者に行われていて、私はとても驚きました。
「分かっているよ。でもね、この患者さんは3剤分払うお金がないんだ。まるで治療なしより、ましとは思わないかい」
HIV診療にはお金がかかります。多くの国ではこの疾患の重要性を考えて通常の医療保険プラスアルファの経済的な補助を与えています。しかし、経済的打撃の大きな米国ではそれが崩れそうになっているようです。
http://blogs.jwatch.org/hiv-id-observations/index.php/2009/03/10/unwelcome-visitor-cost-of-hiv-meds/
かつてのペルーのように、お金のために1剤治療も現実のものとなっているようです。日本だって、ぼおっとしていると例外では、、、
以下、スーザン・ソンタグ「良心の領界」(NTT出版)より
人の生き方はその人の心の傾注がいかに形成され、また歪められてきたかの軌跡です。注意力の形成は教育の、また文化そのもののまごうかたなきあらわれです。人は常に成長します。注意力を増大させ高めるものは、人が異質なものごとに対して示す礼節です。新しい刺激を受けとめることl、挑戦を受けることに一生懸命になってください。
(中略)
本をたくさん読んでください。本には何か大きなもの、喚起を呼び起こすもの、あるいは自分を深めてくれるものが詰まっています。その期待を持続すること。二度読む価値のない本は、読む価値がありません(ちなみに、これは映画についても言えることです)。
(中略)
動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、よその国に住むこと。けっして旅することをやめないこと。もしはるか遠くまで行くことができないなら、その場合は、自分自身を脱却できる場所により深く入り込んでいくこと。時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。場所が時間の埋め合わせをしてくれます。たとえば、庭は、過去はもはや重荷ではないという感情を呼び覚ませてくれます。
(中略)
恐れないことは難しいことです。ならば、いまよりは恐れを軽減すること。
(以下略)
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