いや、久しぶりにすごい本に遭遇してしまった。前のめりになって一晩で読破してしまった。一度しか読んでいないのにこんなことを言うのは何だけど、何度も読み返すべき良書である。通常、こういう本は複数の医師によって共訳されることが多いのだけど、青柳先生が一人で訳しきりたくなった気持ちがよく分かる。 本書の最大の特徴は、筆者が実際に経験した症例がベースになっていることである。著者のFrank E. Berkowitz教授は長きにわたる南アフリカ共和国と米国での診療経験を持つ。その間、コモンな病気をたくさん診、そしてときにまれな疾患・病態・微生物にも遭遇してきた。Berkowitz氏は言う。「馬と同時にシマウマについても考えよ。なぜなら、馬かシマウマかどうかは、君がどこから来たかによるのだから!」(本書2ページ)。この「どこ」の意味する所は、本書を読み進めていくと次第に明らかになる。細菌性急性咽頭炎のような日常よく遭遇する疾患から、(米国では珍しい)麻疹、オンコセルカ症、「鼻から虫体」(!201ページ)など多様な症例がカバーされている。経験値がもたらす、さりげない、しかし含蓄深いコメントがまた渋い。
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